何をそんなにしょげているのだと聞かれ素直に話すと彼女は笑っていた 身内がおらんのは当たり前のことだと その言葉を聞いて彼女はきっと日本ではないどこかの国の人なんだと納得した
「だから、オレンジ色の髪なんですね」
「そうだ!これは妾達だけの色なのだ!」
彼女の国の人は皆髪の毛がオレンジなのか
見分けが付かなかったりしないのだろうかと思っていた時 僕を連れ戻しに来たのだろう看護婦が悲鳴をあげていた
「何処乗ってるの!?早く降りて来なさい!! 」
慌てて僕をフェンスから降ろすと怒りながら屋上の扉へ引っ張られていた ふと彼女が気になり振り返るとそこには誰もいなかった
「あ、れ?さっきの子…」
ここは病院なんだからきっとあの子も見つかるのが嫌で隠れたんだろ 看護婦に聞けばどこの病室の人かわかるはず
「ねぇ、看護婦さん オレンジ色の髪の子何号室の子なの?」
「何を言ってるの?そんなこ、この病院にはいないわよ?」
看護婦の言葉を聞くと不思議に思ったがきっとあの子は今日きたばかりの子なんだろうと考えた
ー名も無き少女ー