溺愛従者と天然兄さん


「見てくださいお嬢様!どうです?可愛いでしょうっ?」

優が紙袋から取り出したもの……それは、


真っ白なワンピースだった。


「わ、可愛い…」


控えめにあしらわれたレースにはどこか上品さが漂っている。

胸元の大きなリボンはほんのりピンク色で愛らしい。


でも……
「私に…似合う、かな?」


こんな可愛い洋服は、
着る人も相応に可愛くなければ似合わない。


「勿論似合うに決まってるじゃないですか!!お店で見かけた時に運命を感じたんですよ!?ああっ、このお洋服はまさにお嬢様の為に存在しているのだな…と。この服がずっとお嬢様を待っていたかと思うと涙が……っ」


そう言ってハンカチを取り出す優。


少し物言いが大袈裟なのは昔からだ。
今更何も気にしていない。


「……ありがとう」

少し笑みをこぼしながら、優に礼を言う。

似合う似合わないはおいておいて、優がわざわざ私のために買ってきてくれたワンピースだ。


それだけで、胸の奥があたたかい気持ちになる。


「どういたしまして」


そう言った優の眼差しは、いつもよりも優しくて。