溺愛従者と天然兄さん


ベーコンの美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。


「おはよう…ございます」


目線は下に向けたまま、
比較的小さな声で挨拶をする。


しかし、いくら待ってもいつもならすぐに返ってくるはずの挨拶が聞こえない。


「………兄さん?」

その直後、
――――――ガシャン


「え」

お皿の割れる音がして、慌てて目線を前に向ける。