初恋story 

「嘘、でしょ?お父さんと一緒にいないの?」
「お父さんは飲み物買いに行ったわ。お父さんと話してる間にきっと居なくなったのよ。最初は美空と美虹と一緒にいるのかなって思ったけど、いなかっから…」
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ。
美海はいなくなるはずないよ。
「私探してくるっ…!!」
「ちょっ、美虹!!危ないわよ」
お母さんの言葉を無視して私は探し始めた。
でもどこにもいなくて、諦めかけていたその時、遠くの方に人だかりができていた。
なんとなく嫌な予感がしたけど私はゆっくりそこの輪の中へ入る。
人の隙間から見える小さな手、ピンク色の真新しい水着。
輪の中央についた私は言葉を失った。
どうして嫌な予感は当たるんだろう。
「おい!この子の親はどこにいる!?」
「救急車呼べよ!早く!」
「溺れてたんだってよ」
そんな声が周りから聞こえた気がした。
少し膨れて青ざめた顔。
だけど間違いない。この子は…
「美海っ…!!」
泣きながら美海の元へ駆け寄る。
「美海っ、みっ…うぅ…!!」
「美虹!!っ…美海?!お母さん!!美海が、美海がっ…!」
「美海?!嘘でしょ…美海っ…」
お母さんもお姉ちゃんも美海に駆け寄り声をあげて泣いている。
慌てて走ってきたお父さんも絶句していた。