「両想いっ?!亮羽の好きな人は亮羽の事好きっ?!」
顔を上げず叫ぶように話すハルちゃん。
「違うよ。俺の片想い。でもな?その人は凄くいい人なんだ。嫌いになれないんだよ」
「ハルのことは見てくれないの?その人以上になってもハルのことは好きになれない?」
やっと顔をあげて亮羽くんに訴えるハルちゃん。
「…ごめん。俺、その人以外は考えられない」
俯きながら話す亮羽くんの顔は私からは確認できない。
今どんな顔してるだろう。
──亮羽くんは誰を想ってるの?
「っ…」
なんでこんなこと考えちゃうの?
「美虹?」
隣で奏が不思議そうな顔をして見ている。
「ん?」
ニコッと笑ってみせたが、自分でもひきつってるのがわかった。
…奏にもわかったよね。
「美虹、帰り話聞くよ」
「うん、ありがとう。もう行こう」
そして私達はその場を後にした。
モヤモヤした気持ちを抱えながら。