「なんだ?」
「俺、好きな人いんだよね」
俺が言うと兄貴は驚くような素振りをひとつも見せなかった。
「知ってる」
「え?」
逆に俺が驚いてしまった。
「近所の子だろ?あの可愛い…」
「だぁぁぁ!!しっ!しぃー!」
兄貴の慌てて口を塞ぐ。
「わかったからよー。そんな照れんなって。な?よーしよし」
「兄貴、バカにしてるだろ??何がよーしよしだよ!」
「怒り方も可愛いね、亮羽」
あぁ、なんなんだこの兄貴は。
「ごめんなー?ほら、話してみー」
兄貴が子供を諭すように俺を見る。
「ひとつ、年上なんだよ…」
「は?お前そんなの気にしてんのか?」
「だって…」
「はぁ。お前どんだけ子供なんだよ。年なんて関係ねぇよ」
馬鹿だなぁと兄貴が俺の頭に手をのせる。
「そんなの気にしてたらいつまで経っても進展しねぇよ」
ま、頑張れと付け足して兄貴はニコッと微笑んだ。