なっちゃんみたいに、コンクールの常連客じゃないし、柚みたいに、部内問題児じゃない私は、ほとんど北原先生としゃべらない。


ちょっと驚いたけど、にっこり笑い返す。

「おしかったな。フウカの絵、すごく良かったのに。れのんの絵と構図が似てたからかもしれない」


慰めてくれてる、のかな……。
大丈夫なのに。


「そんなに似てますか?」

「あぁ。れのんもフウカも、美術室を描いてくれただろ」


そう言って、北原先生はふっと笑った。

だって、大切なもの、なんて見つからなかったんだもん。


だから……私の好きな絵の具のにおいがする美術室とか、道具を描いた。


大切=好き
ってわけじゃないのにね。