「ありがとう」 そう言って晴斗は微笑んだ。 やっぱり、弟君の事褒められると嬉しいんだね。 「晴斗…」 「ん?」 呼び掛けると、私が握っていない方の手で涙を拭きながら返事をする。 「話してくれて、ありがとう」 「ん」 晴斗はただ、そう短く答える。 そして少しの沈黙の後、 「俺こそ、聞いてくれてありがとう」 握った右手が、少し握り返された気がした。 「俺、誰かに聞いて欲しかったのかもしれないから、ちょっと、楽になった」