幸は目をこすりながら起き上がる。


俺はそっと幸を支えた。


目がだいぶ腫れている。


「私…お父さんが死んじゃって、お母さんも苦しいのに分かってるのに、余計に心配かけるような事しちゃって、本当にごめんね」


里美さんはううんと首を振る。


「私も、まだ乗り越えられてない。お父さんが亡くなって、ずっと。けどね、大切な幸司さんとの宝物が、幸がいたから、この子を私が守らなくちゃって思ったから、あの日から頑張れたのよ。幸がいたから、頑張れたのよ」