俺はこれでもかってくらい、幸を抱き締めた。 幸も俺を抱き締める。 まるで、何かに縋るようだと思った。 何かに縋ってないと今にも壊れてしまいそうな、そんな気がした。 お父さんを亡くした事実と、幸は今やっと向き合ってる。 事実を、事実だと受け入れようとしている。 だから、俺に縋れ。 壊れないように、俺に全部よこせ。 全部全部、受け止めるからさ。 今は、俺に縋っていろ。 俺は、幸が泣き止むまで、ずっと、幸を抱き締め続けた。