じっと見つめると、幸のお母さんはふう、と息を吐いた。
「お父さんがね、亡くなったのよ…」
「え」
「去年の夏、とても天気の良い日だったわ。仕事に行く道で居眠り運転の車にね、ぶつけられてしまったのよ」
目を伏せながら幸のお母さんは話す。
「最初その人は寝てないって言ってたの。陽の光が眩しくて目の前が見えなくなったんだって。けどその人、お酒も飲んでたらしくて、結局居眠り運転だったって事になったの」
俺ははっとした。
幸のお母さんの頬には、大粒の涙が流れていた。
「けどそんな事幸と私には関係ないんだぁ。分かってるのは、あの人はもういないって事なんだもん」


