幸のお母さんが玄関の鍵を開ける。 「どうぞ」 「おじゃまします」 幸のお母さんが扉を開けてくれているうちに玄関の中に入る。 引っ越してきたばかりからか、荷物があまりない印象のある中だった。 「幸は、多分降りてこないかな。こちらへどうぞ」 案内されたのは畳の部屋だった。 「床の部屋も欲しかったんだけど、引っ越してきた家だから改築するのも大変かなって思ってね」 俺に座布団に座るように言いつつそんな話をする。