三回インターホンを鳴らしても誰も出てこない。 今日は諦めようと思いながら引き返そうとすると後ろから、 「どちら様ですか?」 という声が聞こえた。 幸かと思い、俯いていた顔を上げる。 そこには、 「幸の…お母さん…?」 「え?知ってるの?」 幸そっくりなその女の人は、驚いた顔をした。 数年前に見た時よりも少し老けた気がするけど、まだまだ美人だ。 そこら辺のお母さん方よりもだいぶ若く見える。 老けた気がするのは、幸同様、痩せたからだろう。 男の俺が見ても分かるくらい痩せた。