ゆっくりと、扉が開く。 心臓が、止まったかと思った…。 ドアの隙間から覗くのは、髪の長い女の子だった。 顔は真っ白で、病気かと思う程白い。 唇の色も血色がない。 胸の位置くらいまである髪の毛は真っ黒で、短かったあの頃とはまるで違う。 ただ、ぱっちりとした目は、思い出と重なる。 「千葉…幸美さん?」 「はい…」 声も、一緒だ。 「あ…の…?大丈夫ですか?」 「え?」 「涙が…」