【短編】大好きなメガネくん

「めがね取ってもいい?」

彼女の返事を待たずに、
ぼくは彼女のめがねをそっと外す。

目を細めて、ぼくのことを必死で見つめている。

その儚げな表情が
ぼくを駆り立てるんだ。


「そんな顔するなよ」

「だって、見えないんだもん」

そう言うと、彼女はぼくの手から
めがねを奪い取った。


「見えないんだもん、もう」

ちょっと怒りながら、めがねをかけ直すと、
今度はぼくの首に腕をまわしてきた。