帰りに宮薗家の車で自宅まで送ってもらうことになった
遠慮はしたが聞き入れてもらえず
現在車に乗っている
なぜか生一“付き”で
「何で一緒に来るんだ。別に送ってもらうだけなんだから、家に居ればいいのに。」
嫌そうな顔をする鄙
「いやー、これから遊びに行くためにも
運転手に鄙の家の道筋を覚えてもらおうと思ってね。」
うっ…嫌な記憶が蘇る
と鄙はさっきのチェスの事を思い出し
眉間に皺をよせた
「僕が強くてビックリしたでしょ。」
心を読まれたかのように思えた
「たまたまだろ。会話に意識がもってかれて、集中できなかっただけ だ。」
「へぇー…」
またニヤニヤしながら鄙を見る生一
それの仕草に顔に血が上がる自分に気付く
「なんだ?!その薄気味悪い笑みわ!」
「たぶん、もう一回しても僕が勝つと思うなぁー」
生一は頭の後ろに腕を回しのけぞった
「な、なんでだ。」
変な生一の自信に疑問点だらけだ
するとくるっと僕の方に向き顔を耳元に
近づけてきた
一瞬悪寒がはしる
「“超幸運”だから…」
そう言うと顔を離し
ニコリと爽やかに笑って見せた
しかし鄙には、その答えと仕草からは
イヤミ以外のなにものにも取れなかった

