家に着くとやっと気が楽になる
1人暮らしをしているため誰にも気を使わなくてすむ


家は1人で住むには少し広い家だ


家族は僕が生まれてすぐに死んだらしい
父と母、双子の兄がいたが
僕と兄が生まれて家族4人初めて家に帰る時に僕以外死んだと聞かされた


両親は会社を経営していて
金と会社だけを残して死んでいった

その後父の弟が会社を引き継ぎ
僕はだだっ広い屋敷に使用人と暮らしていた


今思えば家族が死んだのも、度々自分の使用人がコロコロ変わっていたのも
自分のせいなんだろうと思う



そんなこんなで全て嫌になり1人っきりで
過ごしている






部屋には沢山の蝶の標本が飾ってある

生きてない、もうすでに死んでいるものには妙な安心感がある

この無数の蝶達が僕の孤独を癒している




このまま一生こんな生き方をしていくのだろうか


















「近づくな!!」







入学してから5日が過ぎ
本来立ち入り禁止の屋上で僕は昼食をとっていた


が、この日は先約が居た


しかも…






「今から俺は飛び降りる!!邪魔するな!」





どうやらこの男は今から自殺を謀るらしい






僕は奴の事を無視し、何時ものように
コンクリートの上に座り焼そばパンを食べ始めた






「…え、あれ?普通止めたりしないの?」




奴は驚いた様子でこっちを見てきた


正直今まで何人もの死体を見てきた自分にとって珍しい事でもなく、勝手に死ぬ奴は心底どうでもよかった





「なに?今から死ぬんでしょ?早く逝けば?」



「普通止めるかなーって…」


「止めてほしいの?」




何だコイツ。ただのかまってちゃんなのか

そうだったら超めんどくさい奴だ





「いや!止めなくて結構だ!俺はどうしても死にたいからな」






俺は何か引っ掛かった

死にたい奴にしてはなんというか






明るい…