「あ、綾香....あのさ、今日綾香ん家泊まってもいいかな...?」
「もちろんだよ。うちも千聖と一緒にいたいし....なにがなんだか分からなくて一人でいるのは辛いし…」
千聖の家庭は母子家庭。兄弟はいない。父親は早くに亡くなっていて、母親は毎晩出かけている。
となると、今日も千聖は一人になってしまう。
それなら私の家に泊まった方が何倍もいい。
もしかして何かあっても私が守ってやれるかもしれないし。
真っ暗な夜道を2人でヨロヨロとあるく。
学校から家までの帰り道がこんなに遠く感じたことはない。
早く家に帰りたい。
その一心だった。
会話もなく私達は歩く。
静まり返った夜の入り組んだ路地。
私は団地の一軒家に住んでいるので、どうしても細い小道を通らなければならない。
千聖、なにか言ってくれないかな…
なにもしていないと、さっき遭遇した光景がリアルにフラッシュバックする。
思い出したくもないのに、脳に鮮明にさっきの光景が映し出される。
「.......ゔっっ」
千聖から離れて、道の端にある側溝に私は胃から込み上げてくるものを吐き出した。
我慢しきれなかった…...。
「綾香、大丈夫??....無理ないよね...」
千聖が背中をさすってくれる。
他の友達が吐いてる私を見たらきっと、汚くて近寄らないだろう。
なんて優しいんだ、この子は。
なんて改めて感じながら、ごめんと謝り、2人で家路を辿った。
「ただいま…」
「あら!お帰り!遅かったじゃない。あれ?千聖ちゃんも一緒??外暑かったでしょー。ささ!上がって上がって!」
余程のことがないと怒らないママ。優しくてテンションが高くて楽しくて大好きだ。
「らんらんらん♪今日はね〜、とっておきのオムライスですよん♪よかったねぇー♪」
いつもどおり上機嫌でテンションが高いママ。
でもこの時はそのテンションについていけなかった。
「ご、ごめんねママ、ちょっと部屋いくね....」
「...えっ?あらそう?わかったわ」
ママは、なにかあったのだろうと察してくれたようで私達に手を振った。
ーガチャ
ードサっ
私はすぐに自分の部屋のピンクのベッドに座り込んだ。
「おじゃまするよ」
千聖は白いソファにドカッと座った。
疲れた。
「はぁーーー…....」
大きなため息が出る。
「ねぇ、綾香、怖いけど今日のこと話そ」
ほんのすこしだけリラックスした私に千聖は言った。
「そうだね」
「あ、なんか怖いからテレビ付けて話そう」
そう言ってリモコンを手に取り、適当に好きな番組に変えた。
とりあえず、お笑い系にしよ。
テレビからの音が雰囲気をほんのすこし和ませた。
ついでに確認したピンクの丸い時計。
....?!
すでに九時を回っていた。
おかしすぎると率直に感じた。
「ねぇ、もう九時過ぎてるよ」
「え??うっわ、まじだ。...おかしいよね…なんでかな。」
千聖は腕を触り、鳥肌が立つよと身震いした。
「うちら帰ろうとしてたのって、6時半くらいだよね」
「あれから4時間以上も過ぎてるのは....いくらなんでも信じらんない...」
「あ!この時計がずれてるのかな?ケータイみてみよ…....なによ、一緒じゃない」
私まで鳥肌が立った。
どう考えてもこの時間の過ぎ方は異常だった。
さっきのことと繋がりがあるのかもしれない....
「私さ、思ってることがあるんだ....綾香信じないかもしれないけど....言ってもいいかな?」
千聖が遠慮がちに言った。
なぁに?と相槌を打つ。
「玲奈は、多分ね、『ヒトガタ』を呼んでしまったんだとおもうの...」
....『ヒトガタ』??
うちの学校でよく聞く噂話の一つ。
だから私も結構しっていた。
なんでも、夜中に鏡の前に立ち、鏡の中の自分を指さしながら自分のケータイに電話をかけ、『ヒトガタ』さん遊ぼうよ。と3回唱えると『ヒトガタ』がどこかから現れるらしい。
『ヒトガタ』の容姿は分からない。
『ヒトガタ』は呼び出した相手の相談に乗ってくれたり、かくれんぼなどで遊んでくれるらしい。
.......もちろん、それはタダじゃない。
幽霊を呼び出した代償を払わなければならない。
その代償とは魂と命。
全て乗っ取られてしまうらしい。
学校ではトイレの花子さん並に有名なオカルト系な噂。
でもなんで玲奈がそんなこと...?
「『ヒトガタ』を呼んだとしても、あれってほんとに起こるの?それに玲奈はなんでそんなことしたのかな....。」
だって、美人で頭が良くてスポーツもできて、友達も沢山いて、欲しいものは全部手に入れている玲奈。
相談事だって無さそうだし、第一、頭の良い玲奈がこんな危ない掛けをするはずないと思った。
「単純に試してみただけだと思う...」
えっ?
....千聖が言った。
思ってもみない返答だったから戸惑った。
確かに玲奈はオカルトな話が好きで、いつも怖い話を私達に聞かせていた。
「で、でもさ、命までかけてこんな事する?」
「玲奈は結構するタイプだったんだよ。こっくりさんとか鏡合わせとかもよくやってたみたい...」
「そーなの?!知らなかった....」
結構驚いた。
それと共に
なんだか仲間外れ感が出て寂しくなった。
「私も知らなかったんだよ。でも結構前に、下校してる途中、学校に宿題忘れたの思い出してまた引き返したの。教室開けたら玲奈がいて、クラスの地味な子達とこっくりさんしてたんだ...」
...地味な子?少し気になった。
まぁいいか。
それに千聖も教えられてたわけじゃなくて、見たから知っていただけのようだった。
....よかった。私だけ仲間外れだったらどうしようと思った。
「それでね、私、このことを綾香にも言っていいか聞いたの。そしたらダメっていうから今まで黙ってたんだ。」
「なんで....私はだめだったんだろ... 」
千聖はいいのに私はだめ...か。少し肩を落とす。
「私達は玲奈にとって一番の存在だから、もし霊的な事件とか起きたら絶対に巻き込みたくなかったかららしいよ」
「....そーなんだ」
玲奈はちゃんと私達を友達だと思ってくれていたみたい。嬉しかった。
でも玲奈を思い出そうとすると
今日見たあの化け物しか頭に思い浮かばなくなってしまった。
悲しくて悔しくて怖くて....。
「ごめんね!話脱線しちゃったね。元に戻そう」
「うん。それにしても...玲奈は面白半分でやっちゃうタイプだったんだ。結構以外かな」
「そーだよね、私もだもん」
「んー、『ヒトガタ』か...」
本当に玲奈が『ヒトガタ』を呼んで命を奪われ魂を乗っ取られたと考えたら....
嫌な汗が出てきた。
悪い予感がする。
胸糞が悪かった。
本当は、幽霊の存在なんか信じないんだけど....
今回ばかりはそれを疑うしかなさそうだ…
考えていると頭の中が真っ白でどうしたらいいのか見当もつかないし、胸が苦しくなった。
数時間前に見た玲奈のあの苦しそうな表情。
顔中に空いた無数の謎の穴。
真っ黒な眼球。
不気味な低い声。
勢い良く吐き出された血液。
頭を振り回す。凄く異様な行動。
そうして…....首がちぎれ宙に舞った。
人が…....
人があんなにも簡単に死んでしまうなんて。
それも…大好きだった....信じてた...親友の玲奈が…....
大切な人を失ったんだ。
もう会えないんだ。
馬鹿な話して笑えないんだ。
勉強教えてもらえないんだ。
相談のってもらえないんだ。
愚痴聞いてもらえないんだ。
私は玲奈になにかしてあげたかな...。
ごめんね…....
助けられなくて
「ごめんねっ...うぅ…」
思わず涙がこぼれた。
「綾香ぁ…...うううっ」
千聖も私の手を握り一緒に泣いた。
この悲しさはどこにぶつけたらいいのでしょうか。
私達は玲奈の為になにかできないのでしょうか。
泣きじゃくった私達。
気付けば既に11時30分。
結局話が脱線しまくってしまった。
「...グス....ちゃ、ちゃんとはなさなきゃね、玲奈のためにも…泣いてばかりじゃだめだ.......」
千聖にハンカチを渡し、
気持ちを整え、今この段階でわかっていることをしっかりと話し合うことにした。
私達は決めた。
玲奈の為に、
『ヒトガタ』
の正体を暴いてやる。
「もちろんだよ。うちも千聖と一緒にいたいし....なにがなんだか分からなくて一人でいるのは辛いし…」
千聖の家庭は母子家庭。兄弟はいない。父親は早くに亡くなっていて、母親は毎晩出かけている。
となると、今日も千聖は一人になってしまう。
それなら私の家に泊まった方が何倍もいい。
もしかして何かあっても私が守ってやれるかもしれないし。
真っ暗な夜道を2人でヨロヨロとあるく。
学校から家までの帰り道がこんなに遠く感じたことはない。
早く家に帰りたい。
その一心だった。
会話もなく私達は歩く。
静まり返った夜の入り組んだ路地。
私は団地の一軒家に住んでいるので、どうしても細い小道を通らなければならない。
千聖、なにか言ってくれないかな…
なにもしていないと、さっき遭遇した光景がリアルにフラッシュバックする。
思い出したくもないのに、脳に鮮明にさっきの光景が映し出される。
「.......ゔっっ」
千聖から離れて、道の端にある側溝に私は胃から込み上げてくるものを吐き出した。
我慢しきれなかった…...。
「綾香、大丈夫??....無理ないよね...」
千聖が背中をさすってくれる。
他の友達が吐いてる私を見たらきっと、汚くて近寄らないだろう。
なんて優しいんだ、この子は。
なんて改めて感じながら、ごめんと謝り、2人で家路を辿った。
「ただいま…」
「あら!お帰り!遅かったじゃない。あれ?千聖ちゃんも一緒??外暑かったでしょー。ささ!上がって上がって!」
余程のことがないと怒らないママ。優しくてテンションが高くて楽しくて大好きだ。
「らんらんらん♪今日はね〜、とっておきのオムライスですよん♪よかったねぇー♪」
いつもどおり上機嫌でテンションが高いママ。
でもこの時はそのテンションについていけなかった。
「ご、ごめんねママ、ちょっと部屋いくね....」
「...えっ?あらそう?わかったわ」
ママは、なにかあったのだろうと察してくれたようで私達に手を振った。
ーガチャ
ードサっ
私はすぐに自分の部屋のピンクのベッドに座り込んだ。
「おじゃまするよ」
千聖は白いソファにドカッと座った。
疲れた。
「はぁーーー…....」
大きなため息が出る。
「ねぇ、綾香、怖いけど今日のこと話そ」
ほんのすこしだけリラックスした私に千聖は言った。
「そうだね」
「あ、なんか怖いからテレビ付けて話そう」
そう言ってリモコンを手に取り、適当に好きな番組に変えた。
とりあえず、お笑い系にしよ。
テレビからの音が雰囲気をほんのすこし和ませた。
ついでに確認したピンクの丸い時計。
....?!
すでに九時を回っていた。
おかしすぎると率直に感じた。
「ねぇ、もう九時過ぎてるよ」
「え??うっわ、まじだ。...おかしいよね…なんでかな。」
千聖は腕を触り、鳥肌が立つよと身震いした。
「うちら帰ろうとしてたのって、6時半くらいだよね」
「あれから4時間以上も過ぎてるのは....いくらなんでも信じらんない...」
「あ!この時計がずれてるのかな?ケータイみてみよ…....なによ、一緒じゃない」
私まで鳥肌が立った。
どう考えてもこの時間の過ぎ方は異常だった。
さっきのことと繋がりがあるのかもしれない....
「私さ、思ってることがあるんだ....綾香信じないかもしれないけど....言ってもいいかな?」
千聖が遠慮がちに言った。
なぁに?と相槌を打つ。
「玲奈は、多分ね、『ヒトガタ』を呼んでしまったんだとおもうの...」
....『ヒトガタ』??
うちの学校でよく聞く噂話の一つ。
だから私も結構しっていた。
なんでも、夜中に鏡の前に立ち、鏡の中の自分を指さしながら自分のケータイに電話をかけ、『ヒトガタ』さん遊ぼうよ。と3回唱えると『ヒトガタ』がどこかから現れるらしい。
『ヒトガタ』の容姿は分からない。
『ヒトガタ』は呼び出した相手の相談に乗ってくれたり、かくれんぼなどで遊んでくれるらしい。
.......もちろん、それはタダじゃない。
幽霊を呼び出した代償を払わなければならない。
その代償とは魂と命。
全て乗っ取られてしまうらしい。
学校ではトイレの花子さん並に有名なオカルト系な噂。
でもなんで玲奈がそんなこと...?
「『ヒトガタ』を呼んだとしても、あれってほんとに起こるの?それに玲奈はなんでそんなことしたのかな....。」
だって、美人で頭が良くてスポーツもできて、友達も沢山いて、欲しいものは全部手に入れている玲奈。
相談事だって無さそうだし、第一、頭の良い玲奈がこんな危ない掛けをするはずないと思った。
「単純に試してみただけだと思う...」
えっ?
....千聖が言った。
思ってもみない返答だったから戸惑った。
確かに玲奈はオカルトな話が好きで、いつも怖い話を私達に聞かせていた。
「で、でもさ、命までかけてこんな事する?」
「玲奈は結構するタイプだったんだよ。こっくりさんとか鏡合わせとかもよくやってたみたい...」
「そーなの?!知らなかった....」
結構驚いた。
それと共に
なんだか仲間外れ感が出て寂しくなった。
「私も知らなかったんだよ。でも結構前に、下校してる途中、学校に宿題忘れたの思い出してまた引き返したの。教室開けたら玲奈がいて、クラスの地味な子達とこっくりさんしてたんだ...」
...地味な子?少し気になった。
まぁいいか。
それに千聖も教えられてたわけじゃなくて、見たから知っていただけのようだった。
....よかった。私だけ仲間外れだったらどうしようと思った。
「それでね、私、このことを綾香にも言っていいか聞いたの。そしたらダメっていうから今まで黙ってたんだ。」
「なんで....私はだめだったんだろ... 」
千聖はいいのに私はだめ...か。少し肩を落とす。
「私達は玲奈にとって一番の存在だから、もし霊的な事件とか起きたら絶対に巻き込みたくなかったかららしいよ」
「....そーなんだ」
玲奈はちゃんと私達を友達だと思ってくれていたみたい。嬉しかった。
でも玲奈を思い出そうとすると
今日見たあの化け物しか頭に思い浮かばなくなってしまった。
悲しくて悔しくて怖くて....。
「ごめんね!話脱線しちゃったね。元に戻そう」
「うん。それにしても...玲奈は面白半分でやっちゃうタイプだったんだ。結構以外かな」
「そーだよね、私もだもん」
「んー、『ヒトガタ』か...」
本当に玲奈が『ヒトガタ』を呼んで命を奪われ魂を乗っ取られたと考えたら....
嫌な汗が出てきた。
悪い予感がする。
胸糞が悪かった。
本当は、幽霊の存在なんか信じないんだけど....
今回ばかりはそれを疑うしかなさそうだ…
考えていると頭の中が真っ白でどうしたらいいのか見当もつかないし、胸が苦しくなった。
数時間前に見た玲奈のあの苦しそうな表情。
顔中に空いた無数の謎の穴。
真っ黒な眼球。
不気味な低い声。
勢い良く吐き出された血液。
頭を振り回す。凄く異様な行動。
そうして…....首がちぎれ宙に舞った。
人が…....
人があんなにも簡単に死んでしまうなんて。
それも…大好きだった....信じてた...親友の玲奈が…....
大切な人を失ったんだ。
もう会えないんだ。
馬鹿な話して笑えないんだ。
勉強教えてもらえないんだ。
相談のってもらえないんだ。
愚痴聞いてもらえないんだ。
私は玲奈になにかしてあげたかな...。
ごめんね…....
助けられなくて
「ごめんねっ...うぅ…」
思わず涙がこぼれた。
「綾香ぁ…...うううっ」
千聖も私の手を握り一緒に泣いた。
この悲しさはどこにぶつけたらいいのでしょうか。
私達は玲奈の為になにかできないのでしょうか。
泣きじゃくった私達。
気付けば既に11時30分。
結局話が脱線しまくってしまった。
「...グス....ちゃ、ちゃんとはなさなきゃね、玲奈のためにも…泣いてばかりじゃだめだ.......」
千聖にハンカチを渡し、
気持ちを整え、今この段階でわかっていることをしっかりと話し合うことにした。
私達は決めた。
玲奈の為に、
『ヒトガタ』
の正体を暴いてやる。


