長かった入学式も終わり
家に帰ろうとした時だった。
男の先輩たちが固まって
集団になっているのが見えた。
こういうの、私通りたくない…
けど、帰るにはここ通るしかないじゃん!
琴音ちゃんは、隣にいたけど
なぜか、上の空。
かっこいい人でもいたのかな?
そんな琴音ちゃんと一緒に
恐る恐る横を通り過ぎた。
あ!怖くないや!
その中にはお兄ちゃんもいたから、ホッとした。
「奏ー!部活決まったの?」
「ん?まだだよ。
お兄ちゃん、変なのにに入れようとしてるんでしょ!」
そんな他愛のない会話をしてると
「え、可愛いんだけど」
どこからともなく、
その言葉が聞こえた。
私は、琴音ちゃんのことを
可愛いって言ってるんだろうなと思った。
けど、それは間違っていて
その言葉は私に向けられていることだと
少し時間がたってから気がついた。
その集団から出てきたひとりの先輩。
それが、後々わたしの
大切な人になるとは思ってもいなかった。