「あんまり、大したことじゃないんですけど・・・」
遠慮気味の私に、優しく微笑んでくれる久保先輩に安心して、記憶を蘇らさせる
私が小学校一年生の時に、幼稚園の頃お母さんにもらったクマのぬいぐるみの目のボタンが取れてしまって
そのぬいぐるみ抱いて寝るのが日常だったあの頃の私にとっては大ダメージで・・・
ある日、学校から帰ると新と悠夜がおこずかいはたいて新しく買ってきてくれたクマのぬいぐるみが部屋に置かれてた。
「小学一年生のおこずかいでは中々難しいのに、2人ってばお母さん達におこずかい前借りしてまで買ってくれたみたいで」
今考えると、それがぬいぐるみ好きになったきっかけなのかも
「そのせいで2人とも暫くおこずかいなしで大変だったみたいなんですけどねっ」
あの時はすっごく嬉しかったなぁ
なんて思い出に浸って語る私は微笑みを隠せないでいるのとは真逆のように先輩は難しい表情をしていて
「・・・せんぱい?」
「あ、ごめん!・・・紗羅ちゃんはやっぱり、あの2人にとってはお姫様なんだろーね」

