夏が終わり、少し肌寒く
けど朝の太陽の光は気持ちのいい暖かさで
私はこの時期の朝が好きだ


今年から私立高校に通い始めた私は
近所に住む幼なじみの湊くんと毎日登校している

湊くんは面倒見がよく、いつも私を気にかけてくれている
私自身も湊くんのことを兄のように思い尊敬していた


頭の良い湊くんは推薦で高校に入り
中学の受験勉強もよく見てもらっていた



「まさか湊くんと高校まで一緒になるとは思わなかったなぁ」

「でも俺は茜と通えるから、茜がこっちに来てすごくうれしいな」



元々県立高校を目指していた私は
受験に失敗してしまい、私立に通っている

冬の間ほとんど勉強を手伝ってもらっていた湊くんには、本当に申し訳ない気持ちでいっぱいだった

でも私が落ちたと聞いた時、責めもせず
笑って慰めてくれた




「茜ー!おっはよ~!」

ドンっと後ろから抱きついてきたのは
高校に入って出来た親友の仲野リサ


「うわっ!もーリサ、脅かさないでよ~」

「おはようごさいますっ!蒼生先輩!」

「おはよう、仲野さん」


リサはどうやら湊くんに好意があるらしく
毎朝私に挨拶するを理由に湊くんにアピールしまくる

そんなリサを乙女だなぁと思い、私は応援するつもりだ

実際リサは顔が整っており、告白もしょっちゅうされていた

私はもし2人がくっついたらお似合いだと感じていた


「蒼生先輩っ、実は昨日クッキーを練習で焼いたんですけど、よかったら味見してもらえませんか?」


差し出されたクッキーは練習とは思えない綺麗な出来だった


「わぁ~!美味しそう!よかったね、湊くん」

「うん、ありがとう。仲野さん。」


爽やかな笑顔を返しクッキーを受けとる湊くん


「あ、あとで感想聞かせて下さいっ!
茜っ!行こっ!」

「待ってリサっ!じゃあまたね湊くん」



そう湊くんに伝えリサと校舎に向かった


「えっ、あか…」



何か言いおうとしていた湊太は走っていった茜を見つめ、貰ったクッキーに視線を移した