二限目が終わるとリサはカバンを持ち
無言で教室から、逃げるように出ていった




「リ、リサっ!待って!」



私も急いで追いかけようとした
その時





ドンッ




私は派手に床に膝をついた


「いっ…たぁっ」





誰かの足に引っかかり転んだ


振り返ると、先ほどリサの周りにいた女子達が冷たい目で見ていた




「自分でそうさせといて、追いかけるんだ。」


やはり皆私を疑ってる



「くっ………!」




誤解を解きたいが、今はそれどころじゃない

一刻もはやくリサと話がしたくて
弁解もせず、私は痛む膝を押さえリサを
追いかけた












「はぁ、はぁ……」



玄関まで追いかけたが、リサは見あたらなかった

一応下駄箱を確認すると
リサのローファーは無かった



きっとショックで帰ってしまったんだ…




スマホを開き
今日の事をちゃんと解ってほしいから連絡してほしい、と送った



まだ一時間ほどしか経ってないのに
すごく疲れた


なんであんな事件が起きたのだろう…


そう考えながら廊下を歩いていると







「あれ、茜?」



顔を上げると湊くんが立っていた


久しぶりに会う湊くんはいつもとなんら
変わりない




「何でこんな所にいるんだ……って、
茜、膝から血が出てるじゃないか!」




湊くんは驚いて私に駆け寄った


よく見ると、膝が切れて血が滲んでいた




「早く消毒しないと…!保健室に行くぞ!」



手を引かれ保健室まで連れられる




保健室は《職員不在》の看板が
かけられていた



「今日先生いないみたいだね!
大丈夫だよ!こんなの、ほっとけば治るから。しかも、もうチャイムなりそうだし…」


「何いってるんだっ!もしも傷口が膿んだらどうするんだ!俺が手当てするから、入るぞ!」






保健室のベッドを椅子がわりに腰掛け
大人しく湊くんに手当てしてもらうことに
なった




「そ、湊くん。ほんと、ちゃちゃっとでいいからね!絆創膏はるだけで!」


「なに?茜は消毒がしみるから嫌なのか?昔と変わらないなぁ。」



笑いのながら、救急箱を持ってくる湊くん




「ちがうよ!今はもう平気だよ!
ただ、湊くんが私の為に授業時間をさくのは…」

「もういい、黙って。俺が好きでしてるだけだから。」



そう言うと、私の足を掴んで傷口を
まじまじと見つめた



「そ、湊くん…?」



黙っている湊くんが不思議になった








「消毒が痛くて嫌なら、痛くないようにしてあげようか?」



「えっ…?」



痛くない消毒?そんなのあるわけ…








そう思っていると湊くんは、私の膝に顔を近づけ、傷口を舐めた




「そ、湊くんっ!!なにして…!」




突然の事に驚き、固まってしまった






そんな私に構わず、湊くんは傷口を舐めていた



赤い舌が血を舐めとり、傷口に口づけ、執拗以上に舐める行為に顔が真っ赤になっているのが
自分でも分かる




「もう…いいから、やめてっ!」


肩を掴んで離そうとすると、やっと膝から
顔を上げてくれた




「どう?痛くなかったでしょ?」



にっこり笑う湊くんに、文句が言えなくなってしまった




「でも、やっぱりちゃんとした消毒もしなくちゃいけないから、消毒液かけるね。」



そう言い、シュッと膝に消毒液を吹きかけた



「いたぁっ!!」









最後に少し大きめのガーゼをテープで
留めてくれた


ここまで大袈裟にしなくてよかったのに

けど、傷口を舐めるなんて普通の行動じゃないよね…

一瞬湊くんが怖く感じたが、私の為にしてくれたのに、そん事を思ってはいけないと
思いながら、教室に戻った。