私が先生を避けるようになってから3週間がたった。
先生は何故か私を呼び出した。
「どうした?最近。悩みでもあるのか?」
(悩み?先生、どういうこと?わかってるくせに…どうしてそんなこと、わざわざ聞くの?)
「…悩みなんて、ありません。」
先生は少し考えてから言った。
「まだ、俺の事好きか?」
「っ…!!!」
「まだ、俺の事好きか?」
「…当たり前です。私の気持ちは変わりません。叶わない思いだとしても変えるつもりもありません。」
私は真っ直ぐ先生を見た。
先生は真剣な眼差しで肩をすくめながら
「そうか。……
翠、負けたよ…」
え…
沈黙があった。私は訳が分からなくなった。
「…先生、今なんて……」
「もう一度言う。付き合ってください。
お願いします」
「嘘…」
涙が頬を伝う。
「なぜ嘘をつかなきゃならないんだ。
本当に決まってるだろ?」
嬉しい。嬉しい。嬉しい。
言葉が出ない。
ただ、涙が溢れてくるだけだった。
「はい!」
やっと言えたのは、私と先生との恋の始まりを意味していた。