キスをお先に、頂きました




今は失くすのを恐れるよりか、


朱加を好きな気持ちの方が数段上だ。




だからこうして、お前を強く、抱きしめられる。





「…じゃあ、お幸せにね。

いつまでも付き合ってらんないから。私は、帰る」







栞菜は突然そう言って、歩き出していた。



俺が声を上げて止めようとすると、先に朱加の方が口を開いていた――





「ありがとう、本当に、ありがとう…栞菜」



「どういたしまして」





栞菜はそう言って笑った。





「栞菜、ありがとう…」






俺もそう、礼を言うと、






「これからはちゃんと、朱加に気持ち伝えてよね」






振り返らずにそう言った。




…絶対にそうする。栞菜、ありがとう。