キスをお先に、頂きました





…朱加を宥めるためなんだと思っておこう。





「…私はね、朱加と遥葵の……恋のキューピットになってあげたかったの」





なにも返事をしない朱加の前に俺はその時、



現れた。







朱加を見つめる。



ああ、本当に髪、切ったんだな。




やっぱ声だけじゃダメだ。




お前の顔、見ないと。





見ているだけで安心感が募る。





「なん…、で」





朱加は驚いている。



今にも泣きそうな顔して。






「…朱加」





俺は意図してお前の名前を呼んだ。




…まともに、朱加の名前を呼んで。



そこからやっと、始まるだろ。





朱加の顔を見た瞬間に、なんでも言えそうな、気がした。