キスをお先に、頂きました





「遥葵に言って別れるわけじゃないしさ、とにかく言ってみなよ」




「……」




「朱加、いい?今年のクリスマスは今年しか来ないんだよ?

アイツと過ごしたいと思うのなら――…言うしかないよ。


朱加は、アイツと過ごしたいんでしょ?」




「……会えるだけでもいい」




「うんうん。会えるだけでも、いいんでしょ?

じゃあとにかく頼んでみなよ!
朱加は、深刻に考えすぎじゃないかな。

朱加が思ってるほど、向こうは朱加のことを嫌いじゃないし、むしろ…」






クリスマス……遥葵に、絶対に会いたい。




過ごせないとしても―…遥葵にほんの少し会えるだけでも。




少し顔を見れるだけでもいい。







「…栞菜。ありがとう…。私、がんばる」





私は立ち上がって、栞菜の手を強く握った。





「うん。うん。頑張って」







クリスマスまで、あと9日――




それまでに、遥葵に言ってみる。