キスをお先に、頂きました





そんな私の頭をヨシヨシと撫でながら、栞菜は言う。





「でもね、朱加(アヤカ)のこと嫌いじゃないと思うよ」


「……」






思う、か。


人の気持ちなんてわからないじゃない。





栞菜に反抗したいわけじゃない。



私のことを嫌いじゃないにしても、遥葵の気持ちって一体…。





落ち込む私に、栞菜は言った。







「来年は、受験だよ?今年が最後のクリスマスかもしれないじゃん」


「……」





来年のクリスマス……大学受験の勉強に明け暮れている自分を想像する。






「はぁあぁぁ…」



「はぁあぁぁ、じゃないでしょ。

せっかく付き合えたんだからさぁ、大丈夫だって。」






ダメだ……。



なんだか想像しただけで、げんなりする。





断られたらどうすればいいんだろう、私…。




遥葵に言う勇気が欲しい。