キスをお先に、頂きました






「遥葵…」




ぎゅうっと抱きしめてくる遥葵。




遥葵と私は、半開きだったドアの向こうに入り――…玄関へと倒れ込んだ。






「朱加…髪、切ったんだな」





遥葵と目が合う。



気づいてくれたことが嬉しくて、にやけるのを止めるのに必死。






「……遥葵にフラレたと思ったから」



「…ごめん。でも、すごく可愛い。似合ってる」






その言葉を、遥葵から欲しいと思っていた。




まるで夢を見ているみたい。







「……朱加に、渡したいものがある」


「なに……?」






なんだろう…?




私たちは体を起こし、玄関に座り込む。






「いい?」


「うん……?」





何故か遥葵が改まるので、私もその場で正座をする。




部活帰りだろうエナメルのカバンの中をあさり取り出したのは――




小さな箱。







「これ、良かったら、もらって。いや――貰ってください」






遥葵はそう、言い直した。