キスをお先に、頂きました






「…じゃあ、お幸せにね。

いつまでも付き合ってらんないから。私は、帰る」






気づいたら栞菜は歩き出していて



手をひらひらさせて、帰ってしまいそうになる。




これも栞菜の優しさだと気づき、慌てて栞菜を呼び止めた。






「あ、栞菜っ!」






振り返る栞菜に、声を掛ける。







「ありがとう、本当に、ありがとう…栞菜」



「どういたしまして」







栞菜は笑顔で私にそう言った。






「栞菜、ありがとう…」






そう言う遥葵の言葉に、栞菜は、






「これからはちゃんと、朱加に気持ち伝えてよね」






振り返らずにそう言った。







また歩き出した栞菜が、泣いていたことは、私は永遠に知ることはなかった――。