キスをお先に、頂きました





家に帰った途端、自分の部屋に入ると手も洗わずにベッドにダイブし、枕の中に顔を埋めた。






「…ヒック…ぅ…ヒック」






思い切り泣こうと思った。






私、きっと失恋したから。





遥葵との恋を、なくした。




その術も、場所も、遥葵自信も――…。







遥葵は追いかけてくる気配もなかった。




私、遥葵にはなんとも思われてない。




ううん。むしろ、鬱陶しい女って、思われたよ。






そうだよね。



遥葵にとって好きじゃないのに、あんなこと泣きながら言われて。




なんだよコイツーって、感じだよね。