キスをお先に、頂きました





隣を歩く遥葵の手を握ったことはなく、


私はポケットに埋もれている遥葵の両手を、横目で見ていた。






「……」



なにも話せない“間”。





駄目だ、早く言わなくちゃ。




で、本題はなんなの?って絶対に思ってる。





……もう嫌だ。



言いたくない。




言いたいけど……やっぱり、そのことによって嫌われて、




別れたいなんて言われるのは嫌だ。






やっぱり、言えないよ……。