あーあ。希鶴め。
あたしファーストキスだったのに。
こんなわけのわからない状況でなんてしたくなかったのにっ。
でも。
まるであたしとキスがしたくてしたくてたまらないとでもいうような勢いで、何度も何度も希鶴がキスしてくると。
なんか自分がめっちゃ愛されてるかのように錯覚出来て、正直ちょっと気持ちイイというか、うっとりしてきてしまう。
……いや、いかん、いかん。
なんのためにさっきシンゴ先輩から逃げてきたんだ。好きでもない人とはやっぱりエッチどころかキスもしたくないって思ったから、撃退してきたんじゃん?こんななし崩し的にキスとか、やっぱよくないよ。
……ああ、でも。
なんか希鶴のキスは必死すぎて、流されてしまってもいいような気がしてきちゃうよ。
だんだん体から力が抜けていって、キスされるたびに気持ちよくなって。骨を抜かれてしまったように体も思考もくにゃくにゃしてきてしまう。
もろすぎだよ、あたしの理性。
そんなあたしの様子に、希鶴は心底憎らしげにあたしを睨んでくる。
「クソッ……エロい目ぇしやがって。タラシのシンゴ先輩にもこんなとろんとした顔、見せてきたのかよッ?」


