「き、希鶴?」
「人のこと馬鹿にしやがって。おまえの方はどうなんだ。浮かれた顔して、こんなエロい格好で出掛けやがって。さぞかし楽しいクリスマスを過ごしてきたんだろうな?」
「へ?いや。……いやいや!滅相もございません!自分史上最低最悪なクリスマスでしたよ!」
あわわ。また対鬼軍曹用の口調になってしまってる。
「最低最悪?」
「そうそうっ。シンゴ先輩いたじゃん?デート誘ってくれたからちょっと会いに行ってみたらさ、速攻ラブホ連れ込まれそうになっちゃって。やーまいったまいった!」
あたしがそう言った途端、普段はあんまり喜怒哀楽が表に出ない、武士みたいな希鶴の顔がクワッと険しくなる。
「……………ラブホ、だと?」
「……あっ。や、いやいやいやいや。撃退したよ?だから未遂未遂!汚されてませんから!清い操っす!でもサイテーだよねー、あの人誰でもよかったからただヤりたかっただけみたいで。もうほんと、クソッタレなクリスマスになっちゃったよ!」
自虐ネタ暴露くらいのつもりであはは、と笑いながらシンゴ先輩との残念すぎるクリスマスデートの顛末を話していると。
「なにが『クソッタレなクリスマス』だって?……それはこっちの台詞なんだよ……ッ!」
いきなりキレた幼なじみは、あたしをテーブルの上に突き飛ばしてきました。


