「ってかなんでだろうね。希鶴ってさ、確かに部活じゃ鬼で悪魔で人でなしだけどさ。頭良くて入学からウチの学校で成績ずっとトップだし、模試の順位もいつもひとりだけズバ抜けてるじゃん?
運動だって、バスケ以外も結構いい線行くし、体力測定とかいつも判定いいし、わりと万能だよね?
……それにまあ。顔だって、結構イケメンな方じゃん?なのになんで毎年クリスマスにデートに誘ってくれる女の子が一人もいないんだろうね。
希鶴、そんな悪くないと思うんだけど、ほんとなんでだろ?
性格はときどき嫌味なのが難だけど、基本真面目だから、カレシ候補としては結構狙い目だと思うんだけどなー」
最初は希鶴の機嫌を取るために言っていたけど。
でも改めて希鶴の顔をまじまじと見てみると、目元はキリっとしてるし、鼻の形とか惚れ惚れするくらいきれいだし。
凛としたちょっと古風でオトコっぽい顔立ちには清潔感があるし、唇がすこし大きめなのがアンバランスだけど、でもそれが欠点どころかかえってセクシーに見えたりするし。
生まれたときからの付き合いだから、あたしはヤツのことを今更オトコって意識するのは恥ずかしいけど、客観的にみるとかなりのイケメンだと思う。
それなのにこんなオトコがクリスマスにミジメにぼっちで勉強なんてしてるんだから、恋の神様ってよくわからない。
って。そんなことを考えていると。
「…………誰のせいだと思ってるんだ」
低い声で呟きながら、希鶴がゆっくりと立ち上がった。
なんか、すごいヤバそうな雰囲気。


