それは、雪の降る、寒い寒い2月の冬のことでした。

「おー寒っ!ほらアサヒ。早く帰ろー。」

「ワン!」

私が犬のアサヒと散歩をしていると、ある細いビルとビルの間の通路を見つけた。

「ワン!」

「なーに?こっちに行きたいの?」

アサヒに引っ張られていった細いビルとビルの間の通路の先に、頭から血が出ている、イケメンで少し怖そうな男がいた。

「あのぉ。大丈夫ですか?」

「ん?誰だオメェ。」

なんだろう。めっちゃ睨まれてるけど、全く怖くない。

「せっかく声かけてあげたんだから。」

「あぁそうかよ。でも、俺は不良だぜ?」

「だから何よ、こんな大きな傷だったら襲われないわ。私の家近いから。ほらきて!歩けるでしょ?」

といって立たせると、めんどくせぇといいながらでもこの男はついてくる。可愛い。

「はい。ここ。座っといて。」

そう言い私は男の手当てをした。

シュー…。

「痛ってー!!」

「うるさい!おとなしく消毒されろ!」

手当てをしてから約20分。

「ふぅ。終わった。もういいよ。帰って。」

と言い、玄関へ連れて行くと、

「だーかーらー。俺は不良だってーの。」

と言われ、私は玄関のドアに追いやられてしまった。

「かっ…。帰んないの?」

「うーん。あんたを犯してから帰ろうかなぁ。」

えっ!!私が逃げようとした矢先。バンッと私の顔のすぐ右に男の手が壁を押した。

「まずはキスからかなぁ〜。」

マズイ!やられる!男の顔はだんだんと近づいてくる。やっぱり関わっちゃダメだったんだ。私は思いっきり目をつむった。

あれ?いつまでたっても感触がない。

「はぁー。そんなにビビられるとやりずらいわ。」

私が目を開けると、男はもう遠ざかっていた。

「あっ…。ありがとう。」

「はぁ?!はぁー。お前は俺に犯されかけたんだぞ?」

「でもやらなかったじゃない。てかあなた親は?」

「いない。」

だからか。こんな性格になったのは。

「お前は?」

「私も1人。」

「ふぅーん。じゃ。」

そういうと男は帰ってしまった。