二人の視線がなぜか恥ずかしくて、まだ口をつけていなかったお酒を一口のんだ。
「ふふ…少しは話しやすいと思うわ」
少し話しなよ、と言い残して佐子さんはまた仕事に戻っていった。
時計の針は、もうすぐ深夜の2時を指そうとしている。
「河崎優(コウザキユウ)だよ」
「稲木湖亜です」
優さんは敬語要らないよ、とつけたし、自分が持っているグラスに口をつけた。
「どこの中学校通ってるの?」
「近くだよ…桜坂中学」
ふーん、と言い、ポケットを探り出す。
「それ…」
ポケットから出てきたのは、たばこ。
「あ…ごめん、苦手?」
「いや…」
