突然差し出されたタオル。
前を見ると、佐子さんが差し出していた。
「ありがと…」
あまり話してもいないのに、自然と敬語がとれていた。
一つ空けてそのとなりに座る男の人が、あたしを見て会釈した。
あたしもとっさに会釈を返す。
「湖亜ちゃん、なにか飲む?」
「あ…」
そう聞かれても、ここは飲み屋。
「あ、そっか…湖亜ちゃんいくつ?」
「12だよ、中1」
「あら、大人っぽい中1ね、どう?お酒、飲んでみない?」
佐子さんはニコニコしながら、楽しそうに聞いてくる。
…と言うか、これは断れないパターンではないだろうか。
