そこで、はじめて里を見た。 血だらけだった。 …いや、もうそんな表現ではたらない。 血の海だった。 そういった方が正しいほど、アスファルトは赤黒く染められていて。 その真ん中に溺れているのは、紛れもなく里だった。 「里っ…さと…っ‼」 制服に血が染みるのも気にせず、里を抱き締めた。 「いや…いや‼死んじゃいやぁ‼」 そう、叫んでからの記憶はあまりない。 だけど、泣きながらあたしを抱き締める母親の顔と、制服に染み込んだ血の感覚だけははっきりと覚えている。 不思議と、涙は出てこなかった。