ザザッ…

波の音が聞こえた。

屋根のついたバス停で、雨宿りする。

髪から流れた雨水が、ポタリと地面にシミを作った。

椅子に座ると、水が服に染み込んでいるからか、気持ち悪いほど地肌にくっつく。

うつむいて、これからどうしようかと頭を悩ませた。

「あら…風邪引くわよ…」

声が聞こえたような気がした。

空耳だろうと、思っていた。

「ちょっと…大丈夫なの?」

肩に手をおかれ、ユサユサと揺さぶられる。

「大丈夫じゃないの…びっくりした…」

顔をあげると、安心した表情の女の人が立っていた。