「ほら」 そう言って差し出された龍雅の手。 あたしはその手に自分の手をのせる。 冷え性なのかどうかはわからないけど、いつも冷たい手のあたしには龍雅の手は暖かく感じる。 「湖亜」 ふいに名前を呼ばれる。 「なに?」 そう答えたのに。 龍雅はいつもみたいに眉間にシワをよせたまま黙る。 少し心配になった。 「どうしたの?」 「いや…なんもねぇよ」 そう、と短く答える。 いくら幼なじみっていっても、無理に聞き出したりとかはしない。 あたしも龍雅も、聞かれるのはいやだし、聞くのも正直めんどい。