机においたケータイが、震えた。
表示された名前も見ずに、電話に出る。
「もしもし」
『おはよー、湖亜』
そう、のんきに挨拶してきたのは親友の森先奈々葉(モリサキナナハ)。
「おはよ」
『うん、今日何時ぐらいに行く?』
「まだ考えてないけど…まぁ8時ぐらいには行っとくよ」
『なんか今日早いし』
そう言ってケラケラ笑う奈々葉の声に、あたしも笑った。
それから雑談をしていた。
『あ、そろそろ準備しなきゃ』
「ほんとだ、もう7時20分」
『じゃ、またあとで!』
切られた電話を知らせる音が、耳に響く。
ケータイを閉じて、ポケットにいれた。
