佐子さんは、カウンターから出てきて、あたしにささやく。 「いつでもきていいわよ」 驚いた。 ただただ驚いた。 「優も、湖亜ちゃんを気に入ってるみたいだし」 優しく笑って、あたしに手を振る。 あたしも振り返して、お店を出た。 昨日、濡れながら歩いた道を戻っていく。 家についても、電気はついていなくて。 まぁ、いつものことだけど。 家出するのが初めてなわけじゃないし、逆にしょっちゅうするほう。 もう、心配すらもされなくなっていた。 シャワー、浴びよう…。