苦手と言うよりも。
「あたしも持ってる…」
吸ってる、とは言わない。
言えない。
「もってるって…吸ってるんじゃないの?」
クスクス笑う優さん。
その笑いかたが、佐子さんににているような気がした。
兄弟なんだから、当たり前なんだけど。
「どーなんだろ…春休みに吸ったけど、あんまり」
「そっか」
クスクス笑い続ける優さんは、やはり、モテるんだろうな。
「なに持ってるの?」
そう聞かれても、たばこに詳しいわけではないからわからない。
かばんから取り出して、見せる。
奥の方に入っていたからか、雨に濡れてはいなかった。
