夕日がオレンジ色の淡い光を放つ。

外からは部活動に勤しむ生徒達の声。

そんな声を聞きながら、私は一人、生徒会室で資料を片付けていた。


「あぁ〜…疲れたぁ〜……」


ぐぅぅっと伸びをして、肩を回す。

「全く、何でぜ〜んぶ私まかせなのよ…。副会長は何をしてるわけ!?」


一人で副会長こと、丘咲陸人(おかざきりくと)に文句をぶつける。

あいつが何をしてるか、なんて…。
本当は、呟くまでもなく分かってる。

どうせ、女子達に囲まれながら下校中だろう。

「モテてるからって遊び呆けて……」

いわゆるプレイボーイと言われる陸人の顔が頭をチラつき、離れない。

「むっかつくぅぅぅ!!!!」

生徒から慕われる事は嫌いじゃないしーーーむしろ好きなんだけどーーーそれとこれとは別だ。

藤崎高校副会長。

そんな責任重大な役目を背負っているくせに、このだらけよう。

生徒会長としても一生徒としても、見逃してはいけないことだ。

「待ってろよ、丘咲陸人……!!」

グッと拳を固め、“明日こそは…!”と意気込んでいると……。


“コンコンッ”


控えめな、ノックの音が響いた。