次の日

 相変わらずテンションの高い江口のHR を聞き流しながら、頬杖をついて外を眺めていた。

 どうも佐倉の笑顔が忘れられない。

『ん?』
 思い出すだけでも忌々しい。

 パチモンのくせに。

 すると、急にクラスが騒がしくなり、我に返った。

「この学年の新しい副担の」

「佐倉悠里です」

 ゆったりとした足取りで入ってきたのは、昨日の佐倉悠里だった。

 また、薄っぺらな笑顔をちらつかせて…。

「よろしくお願いします」

と、悠里はニコリと笑った。

 うーわ、胡散臭い。

 私がため息をついていると、悠里と目があった。

「?」

『よろしく』

 悠里は口パクでそう言った。

 クラスのみんなもそれに気付いたらしく、クラス中が歓声に包まれた。

「幸乃がもう新しいセンコウにてぇ出してんぞーっ」

 そこかしこから口笛やら拍手やらが聞こえる。

「ほーら、みんな静かにー。笑いたいのはやまやまなのはよーくわかるけどさー」

「…うっさいわよ」

 私は窓の外に目を反らした。