「楢崎さん、幸せそうでしたね」
僕が楢崎さんが出て行ったドアを見ていると、急に話しかけられたので驚いた。
「あっ、原さん。そうですね、幸せそうでしたね」
カーテンの外で聞き耳を立てて聞いていたに違いない。
「やっぱり、女の幸せは結婚ですよ」
机に向かって書類に目を通していた僕の動きは止まった。
「・・・・・・僕に対するイヤミですか?」
原さんの方を見ながら言いうと、彼女はニヤリと笑っていた。
「そんなつもりはないですけどね。先生、患者さんお呼びします」
「はい」
絶対に、僕に対するイヤミだ。
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