Green Magic〜草食系ドクターの恋〜

トントントン


「はぁい」


自分の部屋のドアをノックすると、中から熊谷さんの声が聞こえた。それだけで心拍数がぐっと上がる。

「お仕事中、失礼します」


僕が部屋に入ると、彼女はすでに立ち上がってこちらを向いてくれていた。


「いいえ、おじゃましています」

「気にしないで、作業を続けてくださいね」

「ありがとうございます」


僕が座ったのを確認すると、彼女は作業を再開させた。

僕は弁当を食べ始めた。

今日は、からあげ弁当だ。

そんなことはどうでも良い。

このあと、彼女とどんな話をしようかというので頭がいっぱいだった。

僕が弁当を食べ終わって少したった後、部屋のドアがノックされた。


「はいどうぞ」

顔を覗かせたのは、やはり原さんだった。

熊谷さんも作業の手を止めて振り返っていた。

一体何の用だ?


「先生、紅茶を入れてきました。熊谷さんもどうぞ」


なるほど。

そういえば先月もこんなパターンだったな。

「ありがとうございます」

熊谷さんが立ち上がり、こちらに来てくれた。

「どうぞ」

僕がソファに座るように促すと、熊谷さんは遠慮がちに「失礼します」と言い座っていた。