「で、ジラフ、どうするんだ?」
「あぁ、加奈と別れようと思う」
「えっ?」
2人の驚いた声が重なった。
表情も目を丸くしているのも同じだった。
「ジラフ、別れるって、急すぎないか?」
隣にいる百井さんも何度も頷いていた。
「いや、加奈と別れずに熊谷さんを誘うなんて、どっちにも失礼だろ?
もし熊谷さんと上手くいかないなら加奈がいるって思うのも嫌だし。
だいたい、加奈とは結婚に結びつくようにも思えなくなってきてるし」
「それでもな・・・」
「2人に相談して良かったよ。ちゃんと背中を押してもらえたよ」
「いや、でもな、別れろなんて言ってないからな」
瞬は、眉間に皺を寄せ言った。
そりゃそうだろう。
いくら友達とはいえ、別れたのが自分のせいだとは言われたくはないだろうからな。
「心配するな。瞬のせいにはしないから」
「いや、そんな心配はしてないけどな。
あまりにも急でジラフらしくないなと思ってな。
せいては事を仕損じる、だぞ?」
「そんなに僕らしくない?」
「あぁ、堅実なお前が・・・こんな決断を一瞬でするなんてな」
瞬は首を傾げたり、振ったりしながら、これまでの僕を振り返っているようだった。
「一瞬じゃないんだと思うよ。自分の中では決まっていたんだと思う。
それを旬たちに決意表明みたいなのをしてから実行に移したかったんだろうね」
「彼女さんは納得してくれそうですか?別れること・・・」
「それが問題だよね・・・まぁ、頑張る」
心なしか不安そうな百井さんと、笑みを浮かべら瞬の表情が対照的でおかしかった。
瞬は、まるで『お前もなかなかやるな』とでも言いたげだった。

