「熱も高く、喉もだいぶ赤いので風邪の症状ですが…今の時期、プール熱かもしれませんね」
僕は、母親の反応を確かめながら、説明をした。
よくわかっていなさそうなら、詳しく説明をしようと思っていたが、健太くんの母親はいつも、しっかり診てくれているので大丈夫だろうと考えていた。
「そういえば、プール熱が流行ってるとお手紙が来ていました」
やっぱり、しっかり把握してくれている。
「そうですか。では、検査をしておきましょうか」
「はい」
検査をした結果、陽性と出たのでプール熱で間違いないだろう。
「タオル、洗面器、食器などを共用しないでくださいね。細かな注意点はこちらに書いているので、ご覧ください」
「ありがとうございます」
「何かわからないことはありますか?」
「学校は・・?」
「あっ、大切なことを言い忘れてましたね。熱が下がって2日間はお家で様子を見てください。
あと、治癒証明書を書くので、熱が下がって2日したら、一度診せにきてくれますか?
もちろん、その間でも気になることがあれば来てくださいね」
お母さんは、僕の説明に真剣に耳を傾けてくれていて、理解もしてくれているようだ。
「わかりました。ありがとうございます」
「お大事に」
お母さんは、再び頭を下げると健太くんを支えるようにして診察室を後にした。

