翌朝早くに将志が目覚めると、和翔と逢沙はまだ眠っていた。
「また朝帰りかよ…」
玄関を通った時、悠志の帰宅に出会した。
「悪いかよ」
「悪いに決まってんだろ。母さんが悲しむぞ」
悠志は母親が亡くなった事実、そして兄妹の中で最も慕って大好きだった逢沙の現状を受け入れらなかった。
いつしか家に寄り付かなくなり、女遊びを繰り返していた。
自分でも悪いと思っていながら、どうしたらいいのか分からなくなっていた。
「お前、今日の夕方、リビングに来いよ」
夕方に賀来が来る、と昨夜和翔に聞いた。
「…あぁ」
そう言うと将志の横を通って自分の部屋に戻った。
すれ違いざまに「たい、ごめん」と謝る悠志の声が将志にははっきり聞こえていた。